【ヤマト】時間帯指定&再配達を見直し!詳細は?ヤマトの現状とは?
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運輸業界最大手のヤマト運輸は2017年(平成29年)の春闘労使交渉で、現場のドライバーの過酷な労働環境を改善させるため、時間帯指定サービス、再配達の受付時間、出退勤の労働時間など、大きく見直しを図る方向で妥結しました。
『サービスが先(さき)・利益は後(あと)』という宅急便の生みの親の小倉 昌男イズムとして、お客様第一の考えを提唱してきたヤマト運輸。しかし社員を大切にする会社としても有名です。
今回は苦渋の選択で、勇気ある決断を下したヤマト運輸の現状とは?そして今後どのような変更点があるのか?というテーマで、過去に数年間ヤマト運輸でドライバーをさせて頂いた経験のある私が、記事をまとめてみました。ぜひ続きをお読みください。
ドライバーの業務の中身とは?
ヤマト運輸では、荷物の配達、荷物の集荷、新規顧客の営業、物品販売、集金、荷物の再配達など。すべて担当エリアのドライバーが一人で行います。
宅急便の生みの親である小倉 昌男さんの著書にも書かれていましたが、ヤマト運輸のドライバーは、レストラン型式ではなく、お寿司屋さんのようなものだと例えられています。
レストランでは、料理を作るシェフ、商品を運ぶウエイトレス、会計や電話対応を行う受付係など、各業務によって専属の人材を配置されています。
しかし、お寿司屋さんでは、大将が食材を仕入れ、魚をさばき、シャリを握り、カウンターのお客様に寿司を提供し、会話をし、お会計をする。といったように、すべて一人で行われます。
このように、すべて一人で業務を行うシステムとなっているため、ヤマト運輸のドライバーはセールスドライバー(SD)と呼ばれているのです。
ドライバーの1日の流れとは?
では、ヤマト運輸で通常行われているセールスドライバーの1日の業務の流れをご紹介します。
全国から発送された荷物が、各営業所ごとに仕分けられ、早朝に営業所に到着します。それらの荷物をエリアごとに分けられ、担当エリアのドライバーが配達していきます。これらの荷物の中には、時間帯指定サービス(無料)の『午前中・12時~14時』の荷物や、am10時までに届けなければならない『タイムサービス(有料)』といった荷物も含まれます。
午前中の配達が終えると、いったん営業所に戻り、時間帯指定サービスの『14時~16時・16時~18時』などの荷物と、午後から到着した荷物も合わせてトラックに積み込み、午後の便の配達に再出発します。また午後からの便は、午前に到着した荷物数より少ないため、配達だけではなく、担当エリアの会社やショップ、個人宅から発送される荷物の集荷作業がメインとなります。
午後の配達と集荷が終える18時過ぎ頃に、いったん営業所にもどり、集荷してきた荷物を発送するためにトラックから降ろし、今度は『18時~20時・20時~21時』の時間帯指定の荷物と、営業所に夕方の便で届いた荷物を積み込み、最後の配達に出車します。
どうでしょうか?これらの通常業務(最低限)だけでも、けっこうハードで忙しく、分刻みで働かれているのがわかると思います。
そして、これらの業務にプラスして、日中のご不在だったお宅への再配達、新規の荷主(荷物の発送元)への営業、季節によっては特産品の物品販売、集金日には荷主への集金など。すべて行うわけです。
今後はどう変わる?ヤマト運輸!
近年のインターネット社会の影響で、Amazonをはじめとするネット通販の荷物が年々と増加し、ドライバーひとり当たりが取り扱う荷物の個数が、限界点に達しようとしているヤマト運輸。
また、運輸業界の課題とされている人手不足による社員への負担を、少しでも軽減するために、2017年の春闘交渉で下記の内容に改善されると決定されました。
1.時間帯指定サービスの見直し
ドライバーのお昼休憩を確保できるように、時間帯サービスの『12時~14時』の指定が廃止されます。
また共働き家庭が多くなった社会の影響で、不在の再配達や夜間指定が集中する『20時~21時』の時間帯指定サービスが『19時~21時』という幅を持たせた枠へと変更されます。
※2017年6月中を目途に見直し予定
2.再配達の受付時間を変更
従来では当日再配達の最終受付が20時だったところを、一時間早い19時に繰り上げられます。このことにより、少しでもドライバーの拘束時間が時短できるように配慮されました。
※2017年4月24日~実施予定
3.着日指定の分散化
お中元やお歳暮などの荷物は、特に配達日指定がない場合は、5日・10日・15日といったような、キリのよい数字の日に到着するように、発送される荷主が多いです。
そのため、それらの日の配達個数および、前日の集荷個数が集中するのを避けるよう、繁忙期の配達日の分散化を大口顧客に交渉されます。
4.ドライバーの睡眠時間確保
拘束時間が長いとされる運輸業界。そのため睡眠時間が確保できずに、また翌日も出勤ということにならないよに、退勤と出勤のあいだを10時間以上は開けるという『インターバル制度』に見直されます。
※2017年10月を目途に見直し予定
5.労働時間の測定法の見直し
ヤマト運輸のセールスドライバー達は、個々に端末機を持ち、伝票のバーコードを読ませて配達完了や持ち戻り、集荷の情報などを管理しています。
出車前にその端末機を起動させた時刻を出勤とし、一日の集配が終了し、端末機を終了させた時刻を退勤として扱っていましたが、出車前には配達のルート確認や、業務終了後には、集金や代引きの金額計算・伝表整理・トラックの洗車なども行われます。
そのような集配にかかった時間だけでなく、営業所に出勤した時刻~退勤する時間までを、正当に労働時間として扱われように変更されます。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回はヤマト運輸の抱える苦悩と現状、そして今後の変更される点について、色々とまとめてみました。
健康で元気であるからこそ、お客様に良きサービスが提供できると思います。今回のヤマト運輸の判断は、現場のドライバーの声に耳に傾け、苦渋の決断を下した勇気ある正当なものだと感じます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。